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ツキノワグマと羅生門

お笑いライブの思い出などを書きたいです。

ネタ数本やるライブっていいよねという話

11月6日、プロダクション人力舎の事務所ライブ「バカ爆走!」の特別編的な位置付けである「コントロイド」を観に行きました。人力舎所属の4組の芸人さんが4本ずつ新ネタコントを卸すライブ。今回はぴーかぶー、アンゲラー、小林ぼっち、ロメオ。

 

僕は数組の芸人さんがネタを数本ずつやってくれるライブが大好きです。お得感と満足感があり、複数本やるからこその挑戦的なネタが観られたり、エンディングでの芸人さん達のしんどそうながらも充実した様子に心打たれたり…。気付けばここ数年でネタを数本ずつやるライブが随分増えたと思うのですが、そのきっかけになったのは恐らくバイきんぐではないでしょうか。

 

バイきんぐがロビンフット・チャーミングと隔月で新ネタを5本ずつ卸していたライブ「フルコース1000円」の存在がKOCで優勝した事をきっかけに注目され、エルシャラカーニ清和さん主導の新ネタを3本ずつ卸すライブ「ネタ9」(今は2本ずつに変更)、ダブルブッキング・ヒデヨシ・オキシジェンの3組が所属事務所の事務所ライブよりこっちに来た方が良いですよと熱く告知していた「2SET」、オードリーやナイツを輩出した伝説の漫才ライブ『漫才米騒動』のスピンオフライブ「漫才夢いっぱい」…等々、新ネタを複数本披露するライブが乱立した時期がありました(詳しくはヤーンさんのバリ最強ブログの素晴らしい記事に書いてあります→ 何かはとっくにおきている - スピンナヤーン )

 

そんな新ネタライブラッシュを経て、気付けば新ネタ1本+自信ネタ1本、レギュラーは新ネタでゲストは有りネタでもOK、ネタの新旧問わず2本…等の様々な形でネタを数本卸すライブが増えていき、今やそういった形式はお笑いライブ界隈で珍しくなくなりました。ネタ数本やるライブは大好きですが、新ネタ縛りが落ち着いたのにはなんだか安心しました。

 

新ネタってやっぱり観ていてテンション上がる物ですが、それを複数本となると芸人さんの消耗も凄まじいでしょうし個人的には新ネタ縛り・賞レース対策と銘打っていたりすると「これは今年の勝負ネタになるのかな」とか要らん事考えちゃって勝手に緊張したりするので、ネタ数本やってくれさえすれば有りネタでも古いネタでも何でも良いです。お笑いライブ好きの知人が以前「三度の飯よりネタ二本が好き」と言っていて、心にスッと染み入る素敵な言葉だなぁと思いました。

 

そんな大好きなネタ数本ライブに、ご贔屓のぴーかぶーが出ると聞いてそれはもうテンション上がりました。しかもぴーかぶーは基本的に漫才師なので、KOC予選の時期以外でこんなにコントを観られる機会なんてそうそうありません。

 

前売りが死ぬほど売れてないと噂になっていた客入りも、蓋を開ければそこそこの客数。安心しつつ開演を待っていると前説のボスマジックが会場を暖めてくれます。このコンビは二人ともシュッとしていてかっこよく、しかも体育会系のグイグイな感じが無い柔らかで爽やかで観ていて好印象しか抱かないコンビなのでこういう場に非常に合っています。(本ネタの漫才も最近めきめき面白くなってるんですこれが…!)

 

出番順はロメオ→小林ぼっち→ぴーかぶー→アンゲラーの順。

 

ロメオは栗谷さんのカジモド系の顔面とフルポン村上さん系のねっとりした演技、溝部さんの若さ溢れる真っ直ぐなツッコミと野犬の様にワイルドなビジュアルが特徴のコンビです。

 

小林ぼっちさんはピン芸人人力舎芸人らしい文化系のビジュアルで、人間の嫌な部分・心のささくれ立った所を表現する一人コントが魅力。また事務所ライブの映像制作も一手に担っています。

 

ぴーかぶーは今年4月のコンビ結成後、キングオブコントの時期にコント「ハウスクリーニング」「映画館」を作った以外は基本的に漫才をやっています。基本的にネタ作りを担当するのはツッコミの天野舞さんとの事ですが、コントではボケののんたなかさんが題材を持ってくるそうです。 

 

アンゲラーは人力舎では珍しいコテコテの浪速キャラでジャガイモフェイスの桑原さんと、そんな押し出しの強い相方にひたすら引いて引き倒す男前の酒井さんのコンビ。コントもその関係性を活かした物が多いです。

 

そんな4組が次々にコントを披露して、オープニングトークも中MCもエンディングトークも無いライブはあっという間に進んで行きました。16本のコント全てが面白かったです。

 

ぴーかぶーの1本目は「ハローワーク」。マイペースで無礼なキャラがのんちゃんによく合っていました。コントになると舞ちゃんのツッコミが抑え目になり、どこかキングオブコメディパーケンさんのエッセンスが漂ってくるのが好きです。意外とこのラインの女性コント師って少ないかもしれない。途中、ターミネーターのテーマを歌う下りで間違えてゴジラのテーマを歌うのんちゃんを楽しそうに見つめる舞ちゃん…という場面にこのコンビの良さが凝縮されてるなと思いました。無事間違いに気付きターミネーターのテーマを歌うのんちゃんに「思い出せて良かったですね」と舞ちゃん。

 

2本目は「サブカル女子」。ストップモーション・ナレーションを導入した意欲作。エンタの神様とかでやりそうな、テレビ向けのパッケージでした。こういう題材を選ぶのも、普段漫才コントが多いぴーかぶーには珍しいなと。サブカル関連語のチョイスがあるあると毒の中間ぐらいな雰囲気の中で、時折鋭いワードがバチコンとハマるのが楽しかったです。オチがシンプルに爽快かつ、(恐らく)舞ちゃんの実感がこもってて好きでした。漫才でもそうですがネタ中に舞ちゃんの世の中への怨念が出る時、表情や言葉のキレが各段に増しててグッと来ます。

 

3本目は「暇つぶし」。3本目は全組ネタ時間短めで遊びの要素が多いネタでした。のんちゃんが暴れまわる姿が輝きまくってて、前コンビピーナッツパン解散後ピンになって初のバカ爆走で観ためちゃくちゃだけど凄く面白かった漫談を思い出しました。この暴れっぷりは漫才に良い形で反映されそうな気がします。

あと、オチがふわっとなっていたんですがあれは「○○い」が「○○ん」に聴こえちゃったのかなと。後者だと舞ちゃんの格好の意味が分からないんですが、前者だとしっくり来るしネタの見え方が違う。これこそ舞ちゃんの闇とのんちゃんの明るさが見事に出た良いコントで、また観たいんですがもう機会が無いだろうな…そう考えると本当に贅沢なライブでした。

 

4本目は「バラドル」。のんちゃんの女芸人としての矜持が爆発するコントでした。のんちゃんってそもそもオアシズ北陽の流れを汲む、人力舎女芸人としての確かなタレント性を持つ人なんだよなと改めて思いました。最後のネタらしく少し時間長めで、ここ!という所でチョイス抜群なワードで爆発的にウケてたのシビれたなぁ…。あとアイドル役の舞ちゃんが素晴らしかったです。これだけでもう、チケット代分の価値が…。色々な役・色々な格好が観られるのもコントの魅力だよなと改めて感じました。

 

他の3組もそれぞれとても魅力的でした。ロメオは4本目で栗谷さんのキャラクターの強さ・演技の濃さが遂にガッチリと噛み合って覚醒する瞬間を目の当たりに出来ました。溜めて溜めての一言でこの日一番の爆笑を掻っ攫って行き、メキメキと成長する音が聴こえる様でした…ライブの醍醐味!

 

小林ぼっちさんは1本目3本目でいつも通り人間の嫌な部分を出して、2本目と4本目ではそこを踏まえつつ逆に暖かな部分も表現してみせるという素敵な構成…特に4本目の孫ネタは、お爺ちゃん子お婆ちゃん子の自分にとってたまらない物でした。

 

アンゲラーは1本目のコントが始まり明転板付きで目に飛び込んできた桑原さんがステレオタイプな「関西」を具現化した様な出で立ちで面白すぎました。若くしてあのコテコテ感を出せるのって素晴らしいなと。他にもいつもと違う酒井さんボケのネタ・桑原さんが関西キャラ一辺倒でないネタなどもあり楽しい4本でした。

 

16本目、大トリのアンゲラーのコントが終わると暗転、程なくして明転すると舞台に出演者が勢揃いしていて全員で一礼してライブ終了。その時流れた曲がOwl Cityの「When Can I See You Again?」だったのがすっっごく良かったです。


Owl City - When Can I See You Again? (From Wreck it Ralph) - YouTube

映画シュガー・ラッシュのED曲!楽しいコントライブの〆にこんなにふさわしい曲って無いなと思いました。若々しくて明るいキャラクターの人が多い4組にも合っていて。最後まで素敵なライブでした!

 

コントロイド、毎回メンバーは違うのに行った人が皆口をそろえて絶賛する理由が解りました。通常のバカ爆走とは違うライブなんだよという特別感を、嫌味無く爽やかに演出してくれていて…ネタ以外の部分でも良い物を観たという気持ちを増幅させてくれるライブでした。またぴーかぶーが呼ばれたらいいなぁと思います。

 

好きな芸人さんが大好きなネタ数本やるライブに出演して、そのライブが素晴らしくてますますその芸人さんもネタ数本やるライブも好きになったという話でした。

 

さて、皆さんは太田プロの主催ライブ「エイトライブ」の存在をご存知ですか?毎月新宿レフカダで開催されている、マシンガンズ・トップリード・風藤松原・新宿カウボーイ・アルコ&ピースという実力派5組に加えて太田プロ内からのゲスト3組(他事務所から呼ばれる場合もあり)の計8組による1組2ネタ&企画コーナーのライブです。ネタ16本に加えて毎回異常な程盛り上がる企画もあり、エイトメンと呼ばれるレギュラー5組の中に気になっている芸人さんが1組でもいれば必ずや満足出来るライブだと自信を持ってオススメ出来るライブです。

 

何より新宿カウボーイのごめんなサイコロを日に2回も観られるなんとこんな幸せな事はありません!今月は18日(火)に開催されます、是非皆で行って出目を観測して終演後にツイートしましょう!ハッシュタグに#新宿カウボーイって付けると尚良し!